ナンゴクアオキ(南国青木)

常緑低木
 アオキには、属内で唯一、染色体倍数性の存在が知られており、外部形態も踏まえて、地域的に分化した変種が認識されてきました。基準変種であるvar. japonicaアオキ(狭義)は、岩手県を北限に東北〜四国東部の太平洋側に分布し、染色体数が2n=32の4倍体です。中国・四国地方以西の西日本〜沖縄には、外部形態ではアオキに類似しますが、染色体数が2n=16で2倍体であることから区別される var. ovoideaナンゴクアオキが分布します。(葉緑体DNA多型からみる日本列島広域分布種の分布変遷:大井 哲雄


 見分け方:人と自然の博物館 鋸歯は内側を向き、凸点が鋸歯の内側につく。
 分布の論文:アオキ(アオキ科)の細胞地理学的研究
 改訂新版日本の野生植物には、「形態的には4倍体と差異はないため、ナンゴクアオキは区別できない。」とある。
学名は、Aucuba japonica var. ovoidea
アオキ科アオキ属
 アオキとナンゴクアオキの葉の比較
 松江市内の分布地図

 [アオキ](広義)
北海道南部〜沖縄の照葉樹林内に多いが、明るい雑木林や植林地にも生える。上部でよく枝分かれし、高さ2〜3m、直径6cmほどになる。樹皮は緑色で灰褐色の細い溝があり、横長の皮目がある。老木は灰褐色で、縦に細かく裂ける。若い枝は緑色で無毛。光沢がある。葉は対生。枝の上部に集まってつく。葉身は長さ8〜25cm、幅2〜12cmの卵状長楕円形。先端はとがり、基部は広いくさび形、縁の上半部に粗い鋸歯がある。質は厚く、表面は深緑色で光沢がある。両面とも無毛。乾くと黒くなる。葉柄は長さ1〜6cmで無毛。上面に浅い溝がある。雌雄別株。前年枝の枝先に円錐花序をだし、紫褐色の小さな花を多数つける。雌雄とも花は直径約1cm。花弁は4個。長卵形で先端は鋭くとがる。雄花には雄しべが4個あり、葯は淡黄色。雌花は中央に花柱があり、雄しべはない。萼筒は長卵形で、先端に萼歯が4個ある。果実は核果。長さ1.5〜2cmの長楕円形または卵状長楕円形で12月〜5月に赤く熟す。表面は光沢があり、中に核が1個入っている。核は長さ1.3〜1.5cm、幅7〜8mmの長楕円形。中央に溝がある。果実が枝についている期間が長く、しばしば花と果実がいっしょに見られる。花期は3〜4月。
 冬芽は長さ2cmほどの紡錘形。緑色で、先きの尖った芽鱗が3対あり、基部の1対は短い。葉痕は三角形状の半円形、維管束痕は3個。(樹に咲く花)
 谷間の林下で多湿な環境に生えた太い枝から下垂する枝の節から気根を出すものがある。(概略)(コクサギとアオキの気根の発生と無性繁殖)



松江ではアオキとナンゴクアオキの分布境界域になり、両者が分布を分けている。松江市内の分布地図ナンゴクアオキの葉の全画像

▼2015年6月7日 東長江▼鋸歯は内側を向き、凸点が鋸歯の内側につく。

ナンゴクアオキ

ナンゴクアオキ

ナンゴクアオキ

▼西長江

ナンゴクアオキ

ナンゴクアオキ

ナンゴクアオキ




▼2015年7月25日 乃木福富

ナンゴクアオキ

ナンゴクアオキ

ナンゴクアオキ

▼2015年7月25日 八雲

ナンゴクアオキ

ナンゴクアオキ

ナンゴクアオキ

▼2012年4月10日 雌花 島根

ナンゴクアオキ雌花

ナンゴクアオキ雌花

ナンゴクアオキ果実

ナンゴクアオキ

▼2004年3月20日 雄花 浜乃木▼中央に柱頭があるような。

ナンゴクアオキ雄花

ナンゴクアオキ雄花

ナンゴクアオキ雄花

▼2004年1月18日 雄花 東長江▼雄しべだけが4本ある。

ナンゴクアオキ雄花

ナンゴクアオキ雄花

ナンゴクアオキ雄花

▼2015年12月20日 果実 島根

ナンゴクアオキ果実

ナンゴクアオキ

ナンゴクアオキ

▼2013年3月16日 果実 東持田▼赤かった果実も萎びて黒くなる。▼果実は長さ約1.7mm。

ナンゴクアオキ果実

ナンゴクアオキ果実

ナンゴクアオキ果実

▼果実の縦断面。▼核が1個入っている。▼薄い皮に包まれている。

ナンゴクアオキ果実

ナンゴクアオキ種子

ナンゴクアオキ種子

▼雌花の蕾。

ナンゴクアオキ種子

ナンゴクアオキ葉

ナンゴクアオキ雌花蕾

ナンゴクアオキ果実

ナンゴクアオキ果実

ナンゴクアオキ果実

▼2004年1月12日 果実 城山公園

ナンゴクアオキ果実

ナンゴクアオキ果実

▼2012年12月14日 若い果実 玉湯▼果実は長さ約1.8cm。

ナンゴクアオキ果実

ナンゴクアオキ果実

ナンゴクアオキ果実

▼果実の縦断面。▼果実の横断面。▼核は長さ約1.3cm。

ナンゴクアオキ果実

ナンゴクアオキ果実

ナンゴクアオキ種子

▼葉身は長さ約16cm。▼無毛とされるが、ごく疎らに毛がある。

ナンゴクアオキ葉

ナンゴクアオキ葉

ナンゴクアオキ葉裏面

▼芽鱗に毛がある。

ナンゴクアオキ葉裏面

ナンゴクアオキ冬芽

ナンゴクアオキ芽鱗

ナンゴクアオキ冬芽

ナンゴクアオキ枝

ナンゴクアオキ

ナンゴクアオキ

ナンゴクアオキ

▼2003年8月15日 幼果 城山公園

ナンゴクアオキ果実

▼2009年3月28日 新芽 玉湯

ナンゴクアオキ新芽

ナンゴクアオキ葉

ナンゴクアオキ葉

▼葉痕

ナンゴクアオキ葉痕

ナンゴクアオキ

▼2006年1月29日 冬芽 東忌部▼2006年1月22日 花芽 浜乃木

ナンゴクアオキ冬芽

ナンゴクアオキ冬芽

ナンゴクアオキ冬芽

▼2010年3月19日 冬芽と葉痕 玉湯

ナンゴクアオキ冬芽葉痕

ナンゴクアオキ冬芽葉痕

ナンゴクアオキ芽吹き

▼2015年3月30日 気根 西長江▼谷間の川沿いの垂れた枝に気根がある。

ナンゴクアオキ気根

ナンゴクアオキ気根

ナンゴクアオキ

▼若葉の芽吹き。

ナンゴクアオキ

ナンゴクアオキ芽吹き

ナンゴクアオキ樹皮

ナンゴクアオキ

▼アオキミタマバエによって実が不規則に膨れ変形する。通常正常の実よりやや小さく長さ10〜16mm、直径4〜8mm。
虫えいの表面は平滑で緑色、部分的に赤みを帯びることもある。内部には1〜18匹の幼虫が入っている。
▼2014年3月3日 虫えい 上東川津▼虫えい(アオキミフクレフシ)▼虫えいは長さ約1.5cm、 直径約6mm。

アオキミフクレフシ

アオキミフクレフシ

アオキミフクレフシ

▼虫えいの表面に毛が散生する。▼虫えいの縦断面。▼小さな幼虫が入っている。

アオキミフクレフシ

アオキミフクレフシ

アオキミフクレフシ

▼幼虫は長さ約0.5mm。

アオキミフクレフシ

アオキミフクレフシ

ナンゴクアオキ

▼2013年3月16日 芽出し 東持田

ナンゴクアオキ芽出し

ナンゴクアオキ芽出し

ナンゴクアオキ芽出し



島根県松江市の野草や樹木、シダを載せています。
松江の花図鑑
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