常緑低木 アオキ(広義)の変種で東北〜四国東部に分布。鋸歯の先は外側を向いて鋭い。 谷間の林下で多湿な環境に生えた太い枝から下垂する枝の節から気根を出すものがある。(概略)(コクサギとアオキの気根の発生と無性繁殖) 学名は、Aucuba japonica var. japonica アオキ科アオキ属 「葉緑体DNA多型からみる日本列島広域分布種の分布変遷 大井 哲雄」(2004)によると 『基準変種であるvar. japonicaアオキ(狭義)は、岩手県を北限に東北〜四国東部の太平洋側に分布し、染色体数が2n=32の4倍体です。中国・四国地方以西の西日本〜沖縄には、外部形態ではアオキに類似しますが、染色体数が2n=16で2倍体であることから区別される var. ovoideaナンゴクアオキが分布します。そして北海道西南部から日本海側の多雪地域には、4倍体で、植物体が小さく、枝が匍匐し、若い枝や葉に短毛が生える点で区別されるvar. borealisヒメアオキが分布します。』とある。 見分け方:人と自然の博物館 分布の論文:アオキ(アオキ科)の細胞地理学的研究 改訂新版日本の野生植物には、「形態的には4倍体と差異はないため、ナンゴクアオキは区別できない。」とある。 アオキとナンゴクアオキの葉の比較 松江市内の分布地図 [アオキ(広義)] 北海道南部〜沖縄の照葉樹林内に多いが、明るい雑木林や植林地にも生える。上部でよく枝分かれし、高さ2〜3m、直径6cmほどになる。樹皮は緑色で灰褐色の細い溝があり、横長の皮目がある。老木は灰褐色で、縦に細かく裂ける。若い枝は緑色で無毛。光沢がある。葉は対生。枝の上部に集まってつく。葉身は長さ8〜25cm、幅2〜12cmの卵状長楕円形。先端はとがり、基部は広いくさび形、縁の上半部に粗い鋸歯がある。質は厚く、表面は深緑色で光沢がある。両面とも無毛。乾くと黒くなる。葉柄は長さ1〜6cmで無毛。上面に浅い溝がある。雌雄別株。前年枝の枝先に円錐花序をだし、紫褐色の小さな花を多数つける。雌雄とも花は直径約1cm。花弁は4個。長卵形で先端は鋭くとがる。雄花には雄しべが4個あり、葯は淡黄色。雌花は中央に花柱があり、雄しべはない。萼筒は長卵形で、先端に萼歯が4個ある。果実は核果。長さ1.5〜2cmの長楕円形または卵状長楕円形で12月〜5月に赤く熟す。表面は光沢があり、中に核が1個入っている。核は長さ1.3〜1.5cm、幅7〜8mmの長楕円形。中央に溝がある。果実が枝についている期間が長く、しばしば花と果実がいっしょに見られる。花期は3〜4月。 冬芽は長さ2cmほどの紡錘形。緑色で、先きの尖った芽鱗が3対あり、基部の1対は短い。葉痕は三角形状の半円形、維管束痕は3個。(樹に咲く花) 学名は、Aucuba japonica |
松江ではアオキとナンゴクアオキの分布境界域になり、両者が分布を分けている。松江市内の分布地図、アオキの葉の全画像 |
▼2017年4月3日 雄花 広瀬 | ▼雄しべ4個、中央に退化した柱頭がある。 | ▼花は直径約1cm。 |
▼鋸歯が外側を向いて鋭い。 | ||
▼2015年6月13日 八雲市場 | ||
▼鋸歯は外を向き、先端に凸点がある。 | ||
▼2015年6月17日 八雲 | ||
▼2009年4月12日 雌花 八雲 | ||
▼2003年12月10日 果実 広瀬 | ||
▼2011年4月13日 雌花の蕾 八雲 | ||
▼2011年3月19日 雄花の蕾 安来 | ||
▼2017年3月30日 気根 八雲 | ▼谷間の川沿いの株は枝に気根があった。 | |