落葉低木 本州(東北地方の太平洋側および関東・中部地方以西)・四国・九州北西部の標高50〜1250mの丘陵地や山地によくあり、しばしば日当たりのよい尾根や岩の多いところに生え、ときに石灰質や蛇紋石の土壌、また開けた林に生える。高さ2mになり、密に分枝し、樹皮は灰色である。髄は細く、中実である。芽は卵形、長さ2〜3mmで、およそ6対の鱗片葉をもつ。若い枝はしばしば赤みをおび、ごくわずかに毛がある。葉は広卵形〜長楕円状卵形で、長さ2〜5(〜6)cm、幅1〜3.5(〜4)cm、先端は鋭尖形または急鋭尖形で鈍頭に終わり、基部はくさび形または円形、粗く不規則な鋸歯があり、まれに不規則な歯牙状鋸歯がある。葉の両面には短い毛が疎生するが、表面はまれに無毛、裏面の主脈基部付近の両側には長さ0.5mm以下の開出毛があり、縁はしばしば紫色をおびる。側脈は3〜4対で裏面でわずかに突出する。葉柄は長さ1〜3mmで有毛である。花は短い柄の先に2(〜4)個つき、長さ0.5〜5mmの共通花柄がある。花は無柄で、ふつう長さ0.5〜2mmの小さい1個の苞と2個の小苞をもつ。萼片は5個、へら状線形〜へら状倒披針形、ほぼ同大で長さは5〜12mm、鈍頭、ときに鋭頭、緑色でしばしば赤紫色となる。花冠は2唇状、ふつう長さ1.7〜3cm、鐘状漏斗形で、白色または黄白色、まれに黄色またはピンク色で、喉部の内側には橙色の網目と長毛があり、外側にはごくわずかに腺毛がある。花筒の下部は筒状で長さ5〜9mm、基部の内側にある蜜腺は小さく、しばしば離生し、短い棍棒状または球状で、腹側はふくらんで、長さ6〜10mm。花冠の上唇は2裂し、裂片は円状卵形で長さ2〜5mm、下唇は3裂し、裂片は広卵形で長さ4〜6mmである。雄しべは4本、2強雄しべで、花筒とほぼ同長、花糸の離生部は長さ6〜8mm、白色で、しばしばわずかに毛があり、葯は長さ2〜3mm。雌しべはわずかに花筒より長く、長さ13〜20mm、しばしばごくわずかに毛があり、柱頭は斜めの円盤状でわずかに2裂して、白色である。子房は細長く、長さ5〜10mm、短毛がごくわずかにあり、縦にはっきりしない稜がある。果期は9〜11月。そう果は線形で、長さ8〜14mm、縦稜があり、粗毛があるか無毛である。種子は1個、狭円柱形で、長さ約5mm。花期は4月下旬〜6月。(日本の野生植物) 学名は、Abelia spathulata スイカズラ科ツクバネウツギ属 似た花に萼片が2〜3枚のコツクバネウツギがある。 |
▼2019年5月21日 花は2個ずつつく。 島根 | ||
▼花冠は長さ約2cm。 | ▼萼の下部に子房があり、長さ約1cm。 | ▼上唇は2裂、下唇は3裂する。 |
▼雄しべ4個のうち2個が長い。 | ▼萼片は5個。 | |
▼葉は4.5〜5cm。 | ||
▼裏面脈上に毛がある。 | ||
▼株立状になる。 | ||
▼2010年5月30日 枕木山 | ▼萼は5深裂する。 | |
▼脈上に毛が多い。 | ||
▼2008年5月6日 鹿島 | ▼萼片が5枚ある。 | |
▼主脈基部に白毛が多い。 | ||
▼2007年4月28日 蕾 鹿島 | ||
▼2005年4月30日 八雲 | ||
▼2014年10月23日 果実 東出雲 | ▼果実には5個の萼片が残る。 | |
▼果実は長さ約1cm。 | ▼微毛が散生する。 | |
▼2004年4月24日 総合運動公園 萼が3〜4枚であり、コツクバネウツギのようだ。 | ||